御所から南に延びる堺町通。
変わりゆく町並みの中で、
「辻和金網」は創業以来八十余年の技を
今も変わることなく守り続けています。
この地で、暮らしの中の様々な工芸品が
生まれてきました。
その一つが今も身近なところで重宝されている
手作りの金網細工です。
京都の金網の起源は平安時代にさかのぼると言われています。
その技を受け継いできた職人達によって、
明治以降、金網は盛んに作られるようになりました。
しかしプラスチック製品の登場や機械化という時代の波に直面し、
価格の安さに押された金網職人たちは、次々に店をたたみました。
そんな中でも工夫を凝らした巧みな細工が発達しました。
熟練の技が生み出す網目の美しさは、
機械による大量生産品には真似のできない「雅」があります。
金網細工は釘を打ち付けた台と指先の感覚だけで、
細い針金を編みあげていきます。
手作りだからこそ用途に応じて針金の太さや
網目の大きさを変えることができ、
長年使ってほころびができた時は修理もできます。
料亭などのプロから一般家庭に愛される
道具を作り続けて来ました。
受け継いできた伝統の技を大切にしながら、
時代の流れに合った道具作りを
していきたいと考えております。
金網細工が京都の伝統的な工芸品として
愛されて止まないのは、千年の都が培ってきた技術力と
磨かれた美意識が受け継がれているからです。